スピラノラクトン内服1ヶ月分は、抗男性ホルモン作用を持ち、女性の薄毛治療や多毛症改善に用いられることがあります。ホルモンに関わる薬剤のため、診察で体質や副作用のリスクを十分に確認してから処方いたします。
スピロノラクトンとは
スピロノラクトンは、主に高血圧や心不全、肝臓や腎臓の病気に伴うむくみの治療に用いられる、カリウム保持性利尿薬です。また、抗男性ホルモン作用(抗アンドロゲン作用)を持ち、女性のさまざまなホルモン関連症状にも応用されます。
主な作用機序
- ミネラルコルチコイド(アルドステロン)受容体を阻害し、塩分の再吸収を抑えることで利尿作用を発揮し、血圧やむくみを改善します。
- 同時に、アンドロゲン受容体にも作用し、男性ホルモン(テストステロンやDHT)の働きを抑える抗アンドロゲン効果を持ちます。
主な適応症
- 高血圧や心不全、肝硬変・腎症候群に伴う浮腫の治療
- 高アルドステロン症(原発性アルドステロン症)の診断や治療
- 女性において:ニキビ、過剰な体毛(多毛症)、女性型脱毛症(AGA)へのOff‑label使用
女性の薄毛治療への応用
- いわゆる女性の薄毛(女性型脱毛症)に対して、スピロノラクトンは「オフラベル」ながら有用な治療選択肢となります。
- その抗アンドロゲン作用により、頭皮のDHTによる毛包のダメージを緩和し、髪の密度や太さの改善が期待されます。
- 臨床研究では、100 mg/日などで毛密度の改善や脱毛抑制が認められるケースも報告されています(25~200 mg/日使用例あり)。
使用上のポイントと注意点
- 月経異常(生理不順、無月経、不正出血)が比較的多く、適切な避妊が必要な年代の女性には経口避妊薬との併用が推奨されます。
- 高用量では乳房の痛みや腫れを伴うことがあります。
- カリウム保持性であるため、高カリウム血症(血中カリウム増加)や低血圧に注意が必要で、定期的な血液検査と血圧測定が大切です。
- 妊娠中または妊娠を計画している女性には避けるべき薬であり、胎児への影響のリスクがあります。
- 男性にはフェミナイズ(女性化)のリスクがあるため、男性の薄毛治療には通常用いられません。
使用イメージ(用法・用量)
- 女性の薄毛治療では、50〜200 mg/日程度を複数回に分けて服用するスタイルが一般的です。
- 効果が出るまで3〜6ヶ月以上かかることが多く、継続的な使用と医師による経過観察が重要です。
まとめ
- スピロノラクトンは、利尿薬としての基本用途以外に、特に女性のホルモン関連皮膚・毛髪トラブルにも効果が期待される多機能薬です。
- 女性の薄毛治療では抗アンドロゲン作用を活かし、改善の可能性がありますが、副作用リスクと薬剤の特性を理解した上で、医師の管理下での使用が推奨されます。
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