トリキュラー(低用量ピル)1シートは、避妊や月経周期の安定、月経困難症の改善に効果があります。ホルモンバランスを調整するお薬のため、服用前に必ず医師の診察が必要です。また、血栓症のリスクがあるため年に1度の検査をおすすめします。
トリキュラーとは
トリキュラーは、バイエル薬品から販売されている経口避妊薬(低用量ピル)で、レボノルゲストレル(黄体ホルモン)とエチニルエストラジオール(卵胞ホルモン)という2種類の女性ホルモンを含む3相性タイプの配合錠です。
主な特徴
- 低用量ピルに分類され、ホルモン量を抑えた処方で身体への負担を軽減。
- 身体の自然な月経周期に近いホルモン変動を再現する「3相性ピル」。
- 第2世代プロゲスチンのトリキュラーは、比較的安定した避妊効果を提供。
作用機序と避妊効果
- 排卵を抑制することで妊娠を防止。
- 子宮頸管粘液を変化させ、精子の通過を困難にする。
- 子宮内膜を薄くして着床しにくい状態にする。これらにより、高い避妊効果を得られます。
正しく服用すれば、高い避妊効果が期待できる薬です(99%以上の確率)。
トリキュラーを内服できない方
低用量ピル「トリキュラー」は避妊や月経トラブルの改善に効果的ですが、すべての方が安全に使用できるわけではありません。以下のような方は内服を避ける必要があります。
① 血栓症の既往・リスクが高い方
トリキュラーを含む低用量ピルは、血液を固まりやすくする作用があるため、血栓症の既往がある方や高リスクの方には使用できません。
具体的には、深部静脈血栓症・肺塞栓症・脳梗塞・心筋梗塞の既往がある方や、強い家族歴がある方は服用を避ける必要があります。
② 35歳以上で喫煙している方
喫煙は血管に大きな負担をかけるため、35歳以上で喫煙している方はピル服用による血栓症リスクが急激に高まります。このため、トリキュラーの使用は禁忌となっています。
③ コントロール不良の高血圧・糖尿病の方
重度の高血圧や合併症を伴う糖尿病がある方も内服できません。血管障害を悪化させる恐れがあるためです。
④ 乳がん・子宮がんなどホルモン依存性腫瘍のある方
ホルモンの影響を受けやすい腫瘍(乳がん・子宮体がんなど)がある場合、女性ホルモンを含むピルの使用は病状を進行させる可能性があるため避ける必要があります。
⑤ 重度の肝障害がある方
肝臓でホルモンを代謝するため、重度の肝障害や肝腫瘍のある方は服用できません。
⑥ 妊娠中・授乳中の方
妊娠中はもちろん、授乳中の方も母乳への移行や乳量減少の可能性があるため使用を避けるべきです。
まとめ: トリキュラーは多くの方にとって有効な避妊・月経管理法ですが、血栓症リスクや基礎疾患をお持ちの方は内服できません。ご自身の体質や病歴を医師に正直にお伝えし、必ず医師の診察を受けてから服用開始することが大切です。
服用方法
- 【トリキュラー錠21】は、21錠を服用後に7日間の休薬期間を設ける方法。
- 【トリキュラー錠28】は、21錠の実薬後に7錠のホルモンなし錠を服用し、毎日欠かさず28日間続ける方法。
- どちらも月経開始日から毎日同じ時間に1錠ずつ服用し、習慣化することが重要。
付加的なメリット
- 月経周期の安定化
- 生理痛(月経困難症)の軽減
- PMS(月経前症候群)の症状の緩和
- ニキビの改善効果が期待されることもあります
副作用と注意点
- よくある副作用:吐き気、頭痛、乳房の張り・痛み、気分の変動
- 重篤な副作用:血栓症、心血管疾患、脳卒中などのリスクがあるため注意が必要。特に35歳以上の喫煙者はリスクが高まります。
- 適さない方:乳がん・子宮内膜がんの疑いがある方、血栓症の既往、重度の肝疾患、高血圧、片頭痛(前兆あり)などの状態を持つ方。
使用上のポイント
- 飲み忘れを防ぐため、毎日ほぼ同じ時間に服用すること。
- 飲み開始が月経初日以外の場合、最初の1週間は他の避妊法(例:コンドーム)を併用。
- 性感染症は防げないため、必要に応じてコンドームなど他の方法を併用。
- 服用に関して不安がある場合は、必ず医師や婦人科への相談を推奨。
血液検査について
レナトゥスクリニックでは、医療用ピル処方や美容医療における安全性を確保するため、定期的な血液検査(採血)を行っています。ここでは採血項目・採血頻度・検査結果の目安について解説します。
① 採血項目
当院で行う血液検査は、ピルや美容施術を安全に継続するために必要な基本項目を中心に行います。
- 肝機能(AST・ALT・γ-GTP):ホルモンや薬剤を代謝する肝臓の状態を確認
- 腎機能(BUN・クレアチニン):薬剤の排泄に関わる腎臓の健康状態をチェック
- 脂質(LDL・HDL・中性脂肪):ピル内服で上昇する可能性があるため定期的に確認
- 血糖値(空腹時血糖・HbA1c):糖代謝異常の有無をチェック
- 凝固系(PT・APTT・Dダイマーなど):血栓症リスクを確認
※患者様の体質や既往歴によっては、甲状腺機能やホルモン関連の検査を追加する場合もあります。
② 採血の頻度
一般的に、ピル処方やゼオスキンなどの美容内服を行う際は、初回処方前に必ず採血をおすすめします。その後は以下を目安に検査を行います。
- 初回:他で検査を1年以内に受けていない場合必須(服用開始前に全身の健康状態を確認)
- 3~6か月後: 副作用や数値変化がないか確認
- 1年に1回: 長期的に使用する場合は年1回の定期検査を推奨
特に血栓症リスクのある方、肝機能や脂質異常が出やすい方は、より短い間隔での検査を行うことがあります。
③ 採血結果の目安(どうなっていればいいのか)
血液検査の結果は、基準値内に収まっていることが安全に内服や施術を継続できる目安となります。
- 肝機能: AST・ALTが上昇していないこと。大幅に高い場合は服用中止や医師判断が必要です。
- 腎機能: クレアチニン・eGFRが正常範囲にあること。
- 脂質: LDLコレステロールが大きく上昇していないこと。
- 血糖: 空腹時血糖やHbA1cが正常域にあること。
- 凝固系: 異常に血が固まりやすい状態になっていないこと。
まとめ: レナトゥスクリニックでは、安全に美容医療やピル内服を続けていただくために、初回採血+定期的な血液検査を行っています。採血結果が基準値内で安定していることが、安心して継続できる大切な条件です。不安な点がある方は、いつでも医師やスタッフにご相談ください。
まとめ
- トリキュラーは、3相性の低用量ピルで、避妊だけでなく月経トラブルの緩和や肌質改善などの利点も期待できる処方薬です。
- 飲み方や注意点を守ることで効果と安全性を高められます。
- 使用中に気になる症状が出た場合は、速やかに専門家へ相談することが大切です。
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